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傷は愛着、補修はドラマ。生粋のボロいもの好き、劔樹人の「ボロ哲学」があまりにも深かった

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こんにちは。ライターの斎藤充博です。みなさん、長く使っているものってありませんか?

僕はあります。例えば10年使い続けているバスタオル。ボロボロになっていて妻からは捨ててくれ、と言われています。確かに捨てた方が良いような気もするのですが、なぜか捨てられません。

みんな、ボロボロのものを処分するタイミングをどうやって見極めているんだろう……?

そんなことを考えていた時に、ミュージシャン・漫画家の劔樹人(つるぎ・みきと)さんのウワサが聞こえてきました。劔さん、どうやらかなりの「ボロ好き」らしいのです。

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劔樹人(つるぎみきと)

漫画家、「あらかじめ決められた恋人たちへ」ベーシスト。「神聖かまってちゃん」の元マネージャーとしても有名。著書の『あの頃。男子かしまし物語』は2021年に映画化が予定されている。
Twitter:劔樹狼 feat.劔樹人 @tsurugimikito

※取材はオンラインで実施しました

そもそも「ボロが好き」ってどういうこと? ボロってアンティークやヴィンテージとは違うの? 頭のうえにたくさんのクエスチョンマークを浮かべながら臨んだ今回のインタビュー。

くわしくお話を伺うと、劔さんがボロいものに注ぐ愛と、ボロに対する劔さんの「哲学」が明らかになりました。「ボロいもの」を入り口に、モノとの付き合い方を考え直すいい機会になりましたよ。

劔さんが好きな「ボロ」はこれだ!

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そもそもなんですが……劔さんの好きな「ボロ」ってどんなものでしょう? アンティークやヴィンテージのような、世間的に高い価値が認められている「ボロ」もありますよね。こういうものは、劔さん的にはどうでしょう? 

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僕にとっての「ボロ」は時間や使用による劣化がみられるもの全てですね。その中でも、使ってきた人のストーリーが見える、唯一無二の味わいがあるものを特に美しいと感じます。

斎藤さんがおっしゃったアンティークやヴィンテージはボロの中でも比較的広い価価が認められているジャンルですよね。たとえボロでも、世間的な価値があるに越したことはないと思います。

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なるほど。そこは一般の基準から外れているわけではないんですね。

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ただ、単なるヴィンテージよりも「自分が新品を使い続けていたら、いつの間にかヴィンテージになっていた」というのが好きですね。後でお見せしますが、僕が使い込んだジーパンやジャズベースもそうです。僕の中では、それがボロの中の”最上位概念”です。

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劒さんのこれまでのボロアイテム

1. ジーパンは「崩壊するまで」はき続ける

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劔さんの好きな「ボロ」がなんとなく分かったところで、具体的にどんなボロをいいと思うのか、見せてもらえますか? 正直、まだボロの良さが分からなくて……。さっきおっしゃっていたジーパンとかはどうですか? 

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この写真ですかね? 

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すげえ……。

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1998年に大学へ進学したとき、とりあえず買ったジーパンです。当時はもちろん新品で、ノンウォッシュだったんです。写真はその3年後ですね。 

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3年で新品がこんなふうになるんですか?

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本当にずっとはいてたんですよ。寝るときも。そうしたら、だんだんと色落ちしてきて、破れてきて……。

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ジーパンの下になにかはいてるように見えますね。

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下に布を継いでるからそう見えるんですよね。他にも、上から違う柄の布で継いでいたりもしています。

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なんというか、修理することに対してノリノリなのがすごい。

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割れた器を漆や金で直す「金継ぎ」という技術がありますが、あの感覚です。修復後のヒビが新しい表情になって、長く使えるようになるという。

あと、大学生の頃は看板を描いてたので、ジーパンにペンキが飛ぶんですよ。だからペンキ汚れもいい感じに広がって。それらが重なり、唯一無二の存在になりました。僕が一番最初に、新品から最終段階まで持っていったものが、このジーパンです。

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今でもはいているんですか? 

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もうはいてないですね。
というのも、ある日
洗濯して干そうとしたら、それまで耐えていたのが堰を切ったかのようにバリバリバリって破れて……完全に崩壊してしまいました。繊維が弱くなっていたんでしょうね。

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ああ……。

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崩壊を目の当たりにした瞬間は、笑っちゃいましたよね。だって、干そうとするそばから、ジーパンがどんどんなくなっていくんですよ! それでも残骸をしばらく取っておいたんですけど、あるとき捨てました(笑)。

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使えなくなったら、捨てる(笑)。決して無理をしているわけではないのが合理的ですね。

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使えるかどうかに関係なく、ボロくなってくると、単純に着づらくなりますよね。ジーパンをはくとき、開いた穴に足が引っかかる。勢いあまって、そのまま破いていっちゃうこともあるでしょう。

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(笑)。同じもので新品とボロいやつがあったら、どちらを買いますか?

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うーん。それはボロいやつを買うでしょうね。

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新品にはないオンリーワンの魅力が、ボロにはあるんですね。なんとなく分かってきたような気がします。

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2. ボロい楽器で対バンをビビらせる

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楽器の中で一番好きなボロはこれです。70年代のジャズベース。

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これもボロいと言うことになんの遠慮もいらないくらい、分かりやすいボロですね。見どころはどこでしょうか?

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ケースの中に長時間放置されることによって、表面の塗装が一度溶けて固まっているところですね。それが禍々しいオーラをかもしだしています。表面なんかデコボコです。

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他にも、中の木が乾燥して縮むことで、表面の塗装が割れるんですよね。ウェザークラックというんですが、近くで見るとかなりの威圧感があります。

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あと、このジャズベースにはありませんが、昔よく作っていたのはステッカーの剥がれ跡。一度貼ったステッカーを剥がすとき、あえて綺麗に剥がさない。お手軽にボロさを演出するテクニックで、もはやライフハックですよ(笑)。

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ライフハック(笑)。でも、このジャズベースを使ったらライブで相当な迫力が出る気がします。

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そうなんです。昔バンドを始めた頃は、「いかに対バンをビビらせるか?」っていう気持ちがあってですね。演奏や楽曲でビビらせるのは当然なんですけど、持ってる楽器がボロいとか汚いとか、そういうところでも負けたくない。楽器がボロいとか、わけの分からない形をしていると、得体の知れない迫力を感じる気がして。

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そこは演者も意識しているんですね。

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実際、僕も対バンがボロい楽器を持ってると、ギョッとしましたからね。だから負けじと、こういう楽器を使ったり、さっきのジーパンをはいたりするんです(笑)。

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ちょっと気になったのですが、楽器を経年劣化させたように見せる加工(レリック加工)って、ありますよね。使っている本人ではなく、第三者がボロくするわけですが、それについてはどう思いますか?

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楽器のレリック加工については、非常に高度な技術者が、丁寧に作り込んでいるものもあります。新品なのに、ちゃんと60年代風の味のある雰囲気になる。その作り込みように、情熱を感じます。

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なるほど。それは”ボロくするプロ”の仕事を味わっているわけですね。

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楽器には「劣化をかっこいいと感じる」カルチャーがあって、多くの人に支持されていると思います。そこは僕も賛成です。

その一方で、なんの技術も持っていない高校生くらいの子が、カッコつけて楽器をデタラメに傷つけたようなものも好きなんですよ。

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若気の至りみたいなやつですね。

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そうそう。ネットオークションを見ていると、ボロボロのステッカーが貼ってあったり、ラクガキが書いてあったりする楽器があって。それらは、元の持ち主の”歴史”を感じるんですよね。お金と場所があれば買い集めたいとすら思います。

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なるほど。ちょっと分かります。僕は楽器じゃないんですけど、ファミコンショップで……。

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あ〜分かる!カセットの裏側に名前が書いてあるやつですね!(察しが異様に早い)

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あれ、見かけるとすごく欲しくなるんですよね。

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友達に貸すから、お母さんに書けって言われてね(笑)。すごくその人の生活を感じますよね。それはさっき言った”高校生の若気の至りギター”と同じ感覚だと思います。

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そう考えると、劔さんは他人の使い込んだものも好きなんですね?

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そうですね。買った新品を自分で育てるのがベストなんですけど、例えば古い楽器のように、持ち主の手を渡り歩いてきたあと、僕と一緒に人生を歩む、みたいな感覚も大事にしています。

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ボロくするには「素材の見極め」が必要

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劔さんはジーパンを修理したり、ギターのステッカーをあえてきれいにはがさなかったり、ボロのために何かしら手を加えていますよね。ボロを維持するために意識していることってありますか?

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ジーパンは捨ててしまいましたが、いまよく着ているのは「CAMBER」というブランドのTシャツです。これ、8オンス(約227g。通常のTシャツは4〜5オンスほど)あって、分厚くてとにかく丈夫なんです。そして、着込むほどに風合いに変化が出ます。

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見た目はボロいですが、途中で崩壊しなさそうですね。

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先ほどもいいましたけど、服ってボロくなると急に崩壊してしまうことがあるので、見極めが必要なんです。これなら20年着られるかなと思ってます。

素材だけじゃなく使い方も大事で。ボロい服を長く着たければ、ある時期からすごく大切にしないといけないんです。ヘビーユースするとすぐダメになっちゃう。

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選ばれし服を大切に着ないとボロにならないってことか……。

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ただ、例えばこちらのチャンピオンのスウェット、これは流石にボロ過ぎて妻に捨てろと言われていて。個人的にはリブ(袖の部分についているニット地)が割れるようになってからがボロとしては本番だと思うんですけどね……。

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そこですよね。身内に捨てろと言われたら、言い返せない。やっぱり家族と意見が合わなくなることってありますか?

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妻はアンティーク好みなところがあって。ちょっと古いものを買ったりもするんですよね。だからその意味では、そんなにズレてないですね。ボロボロの楽器にも理解を示してくれています。

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そうなんですね!(劔さんの奥様はイラストエッセイストの犬山紙子さんです)

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ただやっぱり、さっき言ったようにボロボロの服はちょっと理解できないみたいですね。それから、妻は合理的な人なので、「余分なモノを家に置くことは、そのために家賃が発生しているようなものだ」っていう考え方があるんです。それなりに整理はしておく必要は感じているものの、悩ましいです。

きれいに洗っているわけだし、ギリギリみずぼらしくならないとは思っているのですが……。でも一応全く同じものを買って、スタンバイしています。 

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同じのあるんだ(笑)! 捨てる心構えも万端ですね。

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楽器のアクセサリ類も、塗装が剥がれやすいブランドを選んで買う

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先ほどベースの話がありましたが、劔さんはミュージシャンなので楽器以外のボロコレクションもありそうですよね。

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いろいろあるんですが……。まずはこれかな。 

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チューナー(ギターやベースの各弦の音の高さを合わせる機材)です。僕が10代の頃、楽器を始めたときに買った90年代のものですね。現役で使えます。

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僕は音楽を全然やらないですが、見た目からして迫力を感じますね……。

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昔はこれをカバンの中にテキトーに入れて持ち運んでたんです。だからカバンの中で他の機材とゴチゴチ当たって、傷ついていくんですよね。でもその傷が愛着になる。チューナーなんて、もっと小さくて便利なやつがいっぱいあるんですが、自分の中ではこれが一番価値がありますね。

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なぜだろう。僕は楽器をやったことがないのに、ものすごく「あるある」な気がする……。このチューナーの見どころってなんでしょう?

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やっぱり角の塗装の取れ方じゃないですかね(即答)。

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そうじゃないかと思ってました(こちらも即答)。

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こういう経年劣化の美しさってあると思うんですよ。塗装が剥がれやすいブランドと、剥がれにくいブランドがあるんですが、音が似た感じなら僕は剥がれやすいブランドを選んでしまいがちです。

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ボロくするノウハウが蓄積されていますね。

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他にこんなエフェクター(ギターやベースの音を変える機材)もありますね。

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これは残っている塗装の方が少ないですね。ボロいを超えて、発掘された化石みたいです!

「チューナー」を詳しく見る
「エフェクター」を詳しく見る

僕のボロコレクションを品評していただく

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せっかくなので、僕が持っているボロも見ていただきたく。劔さん的にアリかナシかを教えていただけますでしょうか?

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人様のボロに対して良し悪しを判断するなんて若干恐れ多いですが……見たいです!

1. ボロいバスタオル

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ボロボロのバスタオルです。ちょっと黒ずんでいます。妻に捨てろと言われて、でも愛着があるから捨てたくなくて。こっそり保管しています。

※冒頭で紹介したのはこのバスタオルです

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捨てたくないものは、捨ててはいけないと思うんです。どうせなら崩壊するまで使ってほしいですね。

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ずっと使っていれば、タオルもジーパンみたいに崩壊するんですね。

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洗うたびにどんどん繊維がすり減っていきますから。それである日、繊維が形を保てなくなるというか、はじけるように突然崩壊すると思います。

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そこまで見届けたいな……。

2. 捨てられない人形

妻の人形

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これは妻の持っている人形です。小さい頃におじいちゃんが買ってきたお土産だそうですが、一度首が取れたので接着剤でつけています。あと、顔の塗装も剥げちゃって、お母さんがマジックで描いてる……。いらないんだけど、どうしても捨てられないって、妻は言ってます。

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それはもう取っておくべきじゃないですかね! 僕、補修の跡にはドラマを感じるんです。

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ドラマ……。確かにそうですよね。いらないのに捨てられない、という文脈なら、こちらはいかがでしょう。

3. 恥ずかしくて着れないTシャツ

似顔絵入り

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10年前に作った自分の似顔絵入りTシャツなんですけど、今は恥ずかしくて着れないんですよね。見た目はボロくないのですが……。

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都築響一さんという編集者が、『捨てられないTシャツ』(筑摩書房)という著書を出されていて。いろいろな人の、捨てられずにずっと持ってる1枚のTシャツから、人となりや人生を紐解いていくインタビュー集なのですが、まさにその感覚です。

それだけ語ることがあるTシャツって、斎藤さんにとって大切なものなんじゃないかなと僕は思います。ぜひ大事にしていただきたいですね。

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ありがとうございます……。

「バスタオル」を詳しく見る
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ボロいものを愛するようになったきっかけ

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そもそも劔さんがボロを好きになったきっかけはなんですか?

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若い頃は自意識過剰だったんですよ。カッコつけたいんだけど、カッコつけてるとは思われたくない。

昔の漫画を読むと『魁!! 男塾』の富樫(源次)とか『ドカベン』の岩鬼(正美)とか、屈強な男がボロボロの帽子をかぶっていたんです。そこに魅力を感じていたんですよね。それから、無頼派を気取って、ボロボロのものを身に着け始めました。高校生の頃は、部室に落ちていたボロボロのサンダルを気に入って1日中はいたりもしていました。

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ルーツはそこだったんですね。結果的に印象は全然違っちゃってますけど……! 「ボロが好き」という視点を通すことで、ものの見方が変わった経験ってありますか?

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物を買うときに「古くなったらどうなるだろう?」と考えるようになりましたね。たとえばこの水筒は「白い塗装がはがれてきたら、かっこよくなりそうだな」と思って買いました 

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ものを長く使っていく楽しみが生まれそうですね。

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そうなんですよね。「劣化したら嫌だな」と思うんじゃなくて、劣化に愛着が持てるようになる。すると、長く使えるんです

そういえば、何年か前のテレビ番組で、いろんな高齢者に「最後に服を買ったのはいつですか?」って取材していたんです。皆さん最後に服を買ったのがだいたい50代くらいで、そこからずっと同じ服を着ていました。60代、70代になっても服を買う人って本当にまれらしいんです。

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確かに高齢者って服を買わないイメージありますね。

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その番組を40歳くらいのときに観て、「新しい服を買うのはあと10年くらいなのか」とハッとしました。だから今、消耗品でない上着なんかは、もう死ぬまで使うつもりで買うようにしてるんですよ。”終の棲家”ならぬ、”終の服”ですよね。

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”終の服”か……! 長く付き合うこと前提だと、自然と未来も考えるようになりますよね。

ふと思ったんですが、こんまりさん(著書『人生がときめく片づけの魔法』が有名な片付けコンサルタント・近藤麻理恵さん)は劔さんのボロを整理できるんでしょうかね? 

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「ときめく」「ときめかない」で整理される方ですよね。僕はボロにだいぶときめいていますからね。こんまりさんよりときめきの感性が高いかもしれません(笑)。

ただですね、僕がよく行く中野の古い焼肉屋に、継ぎ足しているタレを入れたペットボトルがあるんです。なんだかいい感じに見た目がボロくなってきていて、グッとくる。ただ、そこまでときめくのもどうかなとは思っていて……。

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そこは迷いがあるんですね(笑)。

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全てのものにときめいちゃうと、本当にものを捨てられなくなるから、そこは見極めなきゃいけないですね。

これくらいなら何とかなるかな?  っていうやや俯瞰したスタンスで、今はボロいものに接しています。……ヤバいかな、やっぱり。

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物を処分するタイミングに決まりなんてない

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ものと時間をかけて徹底的に付き合う。新品が時間の経過とともに崩れていく、その過程の状態の一つが「ボロ」なのではないでしょうか。

そして、一言に「ボロ」と言ってもさまざまな状態があって。それはものと人との関わり方の多様性を示しているようにも思えてきました。

この企画は「劔さんと話してボロに対する思いを整理したい」なんて動機から始まったのですが、正直なところ、ボロを見るとますます気持ちが揺れるようになってきました。

ただ、それも含めてボロの魅力なのかもしれません。みなさんも、ボロになるまで何かを使い込んで、心をかき乱されてみませんか?

 

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▼片づけコンサルタント こんまりさんコラム

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こんまり ときめき ライフ |片づけの先にある ときめく暮らし

著者:斎藤充博

指圧師・ライター・マンガ家などをしています。昼寝とビールが好きです。
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